ここでは日記のほかに小説の進捗状況などを書いていきます
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海岸の町シリーズ(第1話)
category: 小説(海岸の町シリーズ) | author: 相葉ユウ
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    「は〜〜〜、今日も青い海にきれいな夕焼け、か」


    水平線が一望できる砂浜である女性が浜辺に座り込み独り言を呟いていた
    その女性は髪が腰まで伸びていて、顔も美人という部類に入るものであった
    綺麗な夕日と浜辺、そして美しい女性が一人浜辺に座っている、まるで一枚に絵画のような風景
    時が止まっているように見える光景がしばらく続いていたが、夕日の光が少しずつ弱くなりだすと
    女性は立ち上がり、砂を払うと浜辺を後にした。


    浜辺から自宅までは海沿いの道をしばらく歩いたところにあり、別に浜辺でなくても家からでもこの光景は見えたが
    なぜか、私にとってはあの浜辺から見る夕日が好きだった。自分にはなにもないと思っていたときにあれを見ると
    なにかあるんじゃないか。そう思える。
    そうやって、今日も見終わって歩きながら帰っていると前から10歳ぐらいの子供が自転車に乗って近づいてきた
    その子供は私に話しかけてきた

    「あれ、カオリお姉ちゃん、今日も浜辺に居たの?」

    子供は髪の毛に塩に匂いがついちゃうよと注意するように言うと、私は少し苦笑いしながら答えた

    「でもね、綺麗な夕日を見るとね。元気になれるよ」

    子供はそうだけど〜、とやっぱりとおねえちゃんの綺麗な銀色の髪がと私の髪を気にしていた
    別に自分の髪が綺麗だなんて思ったことは一度もない。これは罪の色なのだから。
    自分が犯したさまざまな罪の罰なのだと

    「早く帰らないと、お母さんとお父さんが心配するよ。ほら」

    なかなか動かない子供に私はそういうと、その子は自転車をこいで自分に家に帰っていった
    もう少しで太陽は沈み、このあたりは暗くなるだろう。
    そうすれば、このあたりは一面暗くなる。2年前に起こったサードインパクト、それによってこのあたりは悲惨な光景になった。
    それが復興によってようやく海岸の町を取り戻したが、まだまだ完全ではない。街灯は少なく、夜になれば真っ暗だ
    夜に出歩く人は少ないし、出歩くなら懐中電灯が必要だ。私は完全に暗くなる前に自宅に着いた。
    自宅は私を拾ってくれた両親が旅館をやっていて、離れの部屋を使わせてもらっている。

    「ただいま」

    「あら、おかえりなさい。また夕日を見に行っていたのね」

    困った子ねと母は苦笑いしながらも、早くお風呂に入って塩分を流してきなさいと言った
    本当の母親ではないが、私はこの女性が好きだ。見ず知らずの自分を引き取り、わたしを育ててくれる母親を。
    私は母親の愛情を受けながらも、人を拒絶した自分がそんなことを思うのはいけないという思いがまだ時たま頭をよぎる
    そのときに偽りの器で居る自分が無性にイラつく事がある。自分はあれだけのことをしながら今も生きているのだと

    「自分の罪の証、そして・・・・」

    私はこの髪を洗いながらそんな事を口走っていた。でも偽りではない。本当のこと。髪と瞳の色は罪の色。
    瞳は彼らと同じ赤色。まるでトガビトであることを示すかのように。あのときに犯した罪、私にとって悪魔のような時間、
    私以外にとって、あれ以降、喜びに満ち溢れた人も居たのであろう。でも私にとっては一生かかっても返せない罪を背負った
    私はそんな事を考えながら、洗い終えるとお風呂につかろうとした。その時、お風呂と更衣場をつなぐ扉が開かれ母が入ってきた

    「カオリ、まだいたの。今日はお客さんももう上がって今はお休みよ」

    「いつもならもっと遅いのに今日は早いね」

    「皆さんお疲れみたいだったから。お早めにお休みになったわ」

    だから、私たちも早くあがれたのよと母は嬉しそうに言った。仕事が早く終われることは嬉しい事だとわかるが
    ま、接客業だしいろいろと大変なんだろうねと思った。私自身がこの旅館を手伝うという事はない
    引き取ってもらってから、いつもこの町をぶらぶらしているか、あの砂浜で私は夕日をただ眺めている
    最初は母も心配になって後をついて来ていたらしい。
    散歩コースがわかると母はあきらめたように懐中電灯を持たすようになった
    もっとも、それが母なりのやさしさであるという事はわかっているが

    「ねえ、カオリ、今度、第3新東京市の高校生がこの旅館を使う事になったの」

    「・・・そう」

    母が話しにくそうにそう話を切り出すが私は愛想なく返事をしてしまった。
    あの事件以降、私は他人に興味を持つことは少なくなった。それが私の恐怖の現われなのかどうかは分からないが

    「もし、あれだったら、断っても」

    「母さん、私にそんなに気をかけなくても良いよ。私はもう大丈夫。何があっても逃げないって決めたから」

    私はお風呂からあがると、母に言った

    「私は、碇シンジじゃない、私は水川カオリなんだから」

    私はそういうと、お風呂を後にし、更衣場で着替えると離れにある自分の部屋に戻っていった

    部屋に戻った私はいつものように日記をつける。日記といっても、別に書く事はない。
    今日は夕日が綺麗だったや、今日は誰と会ったなど、普通のものだしそれ以外書く事はない
    自分がこの部屋に入ってからかったものはあまりない。服やちょっとした小物だけ。
    このあたりで生活するにはそれぐらいで十分であった。


    自分にとって本当に必要なものは何か考えるが分からない。自分というものが理解できていないのではどうにもならない

    「今日も変わらぬ日々。そして何もない日々か」

    私はそう漏らした。何もない日々、確かにいつものように夕日や町を見ることが私の日課であり1日の大半をそれで過ごす
    この家で一日を過ごす事は少ない。さらにいえばこの家で居るのはこの辺りが暗くなった夜とお昼のご飯のときである
    それでも、私を暖かく向かい入れてくれる母や父が好きだ。この家もこの町も、そしてこの世界も

    「カオリ、少し良いか?」

    廊下から父の声が聞こえてきた。私が扉を開けると父は深刻そうな表情をして立っていた

    「お父さん、どうかしたの?」

    私がそう聞くと父は言いにくそうに言った

    「実はな。第3新東京市の高校生が林間学校でこの旅館を使うんだが、別館も一部使う事になりそうなんだ」

    父がなぜ言いにくそうにしていたのかようやく分かった。その言葉で私がとても大事にされているのかがよくわかった
    彼は私が彼らと接触したくないのではないかと思って何とか本館だけで言いように部屋割りを考えたのであろう
    でも、それが無理であり、わざわざ私にそれを確認しに来たのだ

    「いいよ。お父さんはそんなに気にしなくてもいいよ。私は父さんの娘だよ。なにがあっても」

    私がそういうと父はそうかと少しうれしそうにしながら部屋を出て行った。
    この数時間で私は父と母に本当に大事にされていると確認できた
    そのことを日記に書き足しておいたのは言うまでもない。私にとって、それは最高の日になった

    ---------------------------------------------------------------------

    翌日、私の部屋に朝日が差し込んできた
    私は基本的には規則正しい生活を送っているので朝起きるのは早い。今日も7時ごろに起きるといつものように着替えて
    部屋の中を少し片付ける。まぁ、基本的にこの部屋にいることは少ないからほとんど片付いているが。
    本や服が片付いていないので今日は朝から片付ける事になった

    「それにしても、今日もきれいな太陽さん。散歩はできそうだね」

    私はそんな事を言いながら部屋を片付けると、朝食を食べるために食堂に向かった
    この旅館は特に損傷や壊れている所もなく、廊下の脇に花壇が置かれている。
    それが朝日にあったってとてもきれいに見える
    そんな何気ない事にも私はまだこの世界にいるんだと思う。

    「あら、カオリちゃん、おはよう、もう食堂でご飯をお客さんも食べてるから行ったほうが良いわよ」

    別館から本館につくと旅館に勤めている女性が布団を運びながら私そう言った
    ここで勤めている人はたいてい住み込みの人が多い。また、そういう人は別館に自分の部屋を持っていて彼女は私の隣の人だ
    私がここに来たときからいろいろとお世話をしてもらっている人の一人である

    「ありがとうございます。今から食堂に行きますから」

    女性は今日もお散歩日和よと言うと布団を持って外の布団を干す場所に慌てて進みだした。今日はお客が多いようだ。
    少ないならあんなに慌てていくはないが、人手が足りないから一人で何回かしなければならないのだろう

    「おはようございます」

    私が食堂に着くと厨房の人に挨拶をすると、中からおじさんが私用の全体的に量の少ない料理を出してきた
    おじさんは今日もしっかり食べないと途中で倒れるぞと言うと奥に戻っていった。
    あれ以降、私は食事というものが嫌いになった
    あの赤い世界、何もない地獄、それを長い間見ていた所為で何も食べれない体に変わっていったのであろう。
    あんなものを見れば誰でもそんな事になる

    ましてや、心を壊され、何も考える事ができなくなった私に食事なんてする余裕はなかった。
    ただ、赤い世界を見て一日を過ごす。そんな無意味な事をして過ごしてきた。なにもない。
    あの赤き穢れのない世界に私は何も見出す事はできず、最終的には私は1年を過ごしたらしい。
    正確な日付は私にも分からない。それを記録しているものもない。

     

    私が1年と判断した理由は太陽の上がった回数を思い出せば、365回上がったと覚えている。
    普通の人間なら覚える事はできないであろう
    私は人ではなく、神の力を持つ『ヒト』。世界を創造しうる力をもちながらも、それをせず何もしない日々を過ごした
    ある時、私はようやく自分に気づき、そして、世界を『創造』した。

    「世界は我と共に、そして我は世界を・・・」

    そして、世界を創った。元の世界を再びを創り出した。
    その際にサードインパクト、セカンドインパクトによって死亡したはずの人がよみがえるということを起こってしまった。
    さらに私は自分の性別が男性から女性に代わり、見た目も身長などが少し成長して16歳前後に変わった。
    自分にとっては幸運だった。死者の戸籍を作成するために、政府は簡単な審査で戸籍作成を行っていた、
    制度をうまく利用して新しい自分を作り出した。ネルフが存続した場合、自分はその調査対象から外れやすい立場における
    セカンドインパクト時に亡くなった人を今から調べるすべもなく、私は申請の時にあることを記入し戸籍を作成した

    『セカンドインパクトと呼ばれる大災害を知らない』と

    それによって私は新しい戸籍が得られ、最初は『神名カオリ』と。
    その後、このあたりをぶらぶらしているときに今の両親に引き取られ、養子縁組をし『水川カオリ』となった。

    「あら、カオリちゃん、しっかり食べないと、道端で倒れちゃうよ」

    また別のこの旅館で勤めている女性からそういわれてしまった。
    みんな私のことを心配してくれる。本当に私のことを子供のように思ってくれる。
    今、この場所で入れることが私にとって何おり幸せだと感じる。私は大丈夫ですよと返事をすると。
    食べ終わった食器を調理場に持って行った

    「今日もおいしかったよ。いつもありがとうございます」

    そう私がお礼を言うとおじさんは少し顔を赤く染めて「そうか」とぶっきら棒にいった。
    私はそのまま厨房にある通用口から外に出るといつもの散歩コースを歩き出した。
    父と母は私の本当の名前も知っている。碇シンジであることも、ネルフのパイロットであった事も。
    そして失われた英雄である事も、2人は私は私たちの娘だといってくれた。だれが何を言おうと私は水川カオリだと。
    その言葉をはじめて聞いたとき、私は本当の家族の愛とはどういうものなのか、何か少し分かったように思った。

     

    今まで私は母や父の愛など受けた事もないし、そんなものを知らなかったのに、本当に嬉しかった
    娘だと、私は自分の娘だ取ってくれた二人は私は守ろう。そう決めた。

     

     

    JUGEMテーマ:連載

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